ここ数年、自然災害が続いています。
東日本大震災の時は、マイホーム再建に平均2,500万円かかったものの、
公的支援として受給できたのは400万円程度だったとか※1。
大きな被害が予想される地震への備えが急務となっています。
地震による被害は地震保険でしかカバーできない
地震保険は、地震、噴火、津波による火災、損壊、埋没、流失による自宅とその家財の損害を補償するものです。火災保険に加入していても、地震による火災(他からの延焼も含む)は補償してくれません。
地震保険に加入するには、火災保険とセットで契約する必要があります※2。保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額となっています。
保険料は地域や建物により異なる。保険金は被害により4段階で支払い
地震のリスクは地域によって異なるため、地震保険の保険料は都道府県ごとに決まっています。建物の構造(鉄骨・コンクリート造、木造など)によっても異なり(表1)、建物の耐震性能に応じた保険料の割引制度もあります(表2)。地震で、建物、家財が被害を受けた場合、その損害の程度により全損、大半損、小半損、一部損に分けられ、保険金が支払われます(表3)。
表1【年間保険料の一例】
- ・東京都
- ・木造建物(ロ構造。主として木造の建物)
- ・割引なし(2019年1月以降保険始期の場合)
保険金額 | 保険料 | |
---|---|---|
建 物 | 1,000万円 | 38,900円 |
家 財 | 500万円 | 19,450円 |
合 計 | 1,500万円 | 58,350円 |
表2【地震保険料割引制度】※割引の重複適用は不可
種 類 | 割引率 | 条 件 | |
---|---|---|---|
免震建築物割引 | 50% | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物である場合 | |
耐震等級割引 | 耐震等級3 | 50% | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有している場合 |
耐震等級2 | 30% | ||
耐震等級1 | 10% | ||
耐震診断割引 | 10% | 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 | |
建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以降に新築された建物である場合 |
表3【損害の程度と支払われる保険金】
※ただし、時価額が限度
損害の確認は、保険会社の担当者が行います。まずは、修理に取り掛かる前に保険代理店または保険会社に連絡しましょう。
全 損 | 保険金額の全額 |
---|---|
大半損 | 保険金額の60% |
小半損 | 保険金額の30% |
一部損 | 保険金額の5% |
地震保険の世帯別加入率の全国平均は31.2%※3と低いながらも、年々増加。保険金は低く抑えられているため、被害を全て補填できるわけではありませんが、保険金がないと再建は厳しくなります。地震へのリスクにしっかりと備えておきましょう。
※1…内閣府ホームページ(防災情報のページ)より
※2…火災保険は民間の保険会社がそれぞれ運営していますが、地震保険は法律(地震保険に関する法律)に基づいて国と民間の保険会社が共同で運営。というのも、地震の被害は広範囲にわたって大きな損害が出る可能性が高く、民間の一保険会社では対応できないからです。大地震などのときは、保険金の一部を政府が負担(政府再保険)することになっているため、安心して保険に加入することができます。
※3…損害保険料率算出機構統計集2017年度。
ファイナンシャルプランナー 福一 由紀
※掲載の情報は、2019年7月時点のものです。内容は制度運用中でも変わる場合がありますので、ご了承ください。