「DREAM Solar(ドリームソーラー) @千葉多古」(千葉県多古町)超軟弱地盤に建設した太陽光発電所
千葉県多古町に、当社が設計・施工、大和エネルギー株式会社が発電事業者となる太陽光発電所「DREAM Solar(ドリームソーラー)千葉多古」を建設、2015年10月より20年間、総出力約1.8MW(メガワット)の発電事業を行います。
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農業に適さない土地を有効活用して賃料収入を得る
この土地は、昭和39年に行われた水田地帯の整備の際にできた土地で、地盤が非常に軟弱でした。そのため、水田としては利用できず、萱葺き屋根の材料となる萱を育てていました。しかし、時代と共に萱葺きの家も少なくなり、空き地となっていました。その後、ラジコンクラブに貸していましたが、区の未来を見据え、2015年から賃料収入が得られる土地の活用法として太陽光発電所建設の計画が、区長を中心に進められました。
整備前(土地の近くを蛇行した川が流れている)「画像は国土地理院より」
現在の様子(川は整備されたが地盤の軟弱なところがある)「画像は国土地理院より」
地盤補強が施工のポイント
当初は、歩くとその周りがプルプルと震えるくらい地盤がやわらかく、プリンのような状態でした。そのため、今回の施工では、地盤補強が最大のポイントとなりました。 通常、軟弱な地盤を補強するには、固化材を使用して地盤を改良します。しかし、この地域では多古米といわれるブランド米を育てていることもあり、近隣農地の方々から固化材投入による土や農作物への影響が心配されていました。 そこで、影響の少ない石灰を混ぜて固まり具合を確認してみたものの、投入した重機が埋まり、引き上げるのに数日を要し、固化材での地盤補強は断念しました。
埋まった重機
次に、太陽光パネルと架台の荷重から構造計算した結果、太陽光パネルは軽いため、鋼管杭を5m打ち込めば摩擦抵抗により、パネルと架台を十分支えられるという結果となりました。ただ、杭は全く沈まない想定ではなく、いくらかは沈んでいくことを想定した計算を行うとともに、杭ごとのばらつきが出ないよう、パネルどうしの接合間隔を空けたり、送電ケーブルを長めに取り、引っ張られることのないよう配慮しました。
次に、施工に必要な重機を沈ませない方法として補強シートを利用した地盤改良を考えました。これは大和ハウス工業千葉支社の設計部門からの提案で、軟弱地盤の上に補強シートを敷き、その上に砕石を入れ、その上に防草シートを重ね、さらにその上に砕石を入れる工法です。
地盤補強断面イメージ図
補強シートを全面に敷いた上に、砕石を敷く
重機が沈まないことを確認
杭打設作業
分散型のパワコンディショナ採用による負荷軽減
分散型パワーコンディショナ
太陽光発電パネルで発電された直流の電気を交流に変換するパワーコンディショナも、通常使用していたもの(重量:6t×2箇所 基礎重量別)ではなく、分散型(重量:85kg×75箇所)を採用し、一点荷重とならないように配慮しました。分散型パワーコンディショナの採用により、搬入や施工の負荷軽減や大型パワーコンディショナを支える地盤補強が大幅に削減されるだけでなく、送電の際にも、発電量のロス低減になるメリットもありました。
きめ細かなメンテナンス
この「DREAM Solar(ドリームソーラー) @千葉多古」のメンテナンスは、全て当社グループの大和エネルギー株式会社が行っています。ここは、軟弱地盤という特性があるため、週に2~3回のペースで沈みがないかをチェックするなど、こまめに確認を行い、気になる点があれば、早めの対応をしています。大雨の後などは、特に気を配ってチェックを行っています。
グループ一体で、さまざまなご要望に対し、再生可能エネルギー事業を実現
当社グループでは、「風と太陽と水」の有効活用をテーマに、2020年までに、当社が使用する電力量のおよそ2倍となる発電量(約260GWh)とすることを目指して、再生可能エネルギー事業を進めています。メガソーラー事業「DREAM(※) Solar」もその一環で、当社グループが建設から運営管理までをワンストップで手掛けています。
※DREAM:D:Daiwa House Group(大和ハウスグループ)、R:Renewable(再生可能)、E:Energy(エネルギー)、A:Asset(資産)、M:Management(管理)。
太陽光発電設置についての調査計画から運営管理までの一貫管理体制
「DREAM Solar(ドリームソーラー) @千葉多古」スキーム図
お客さまの声
地域で長く付き合っていくものなので、信頼のある大和ハウスグループに頼むことにしました。賃料収入で、区費の減額だけでなく、公共の場を充実させて地域の魅力につながればと思っています。大和ハウスグループには今後も、この地域の活性化につながる提案をして欲しいです。
次浦地区 区長(当時)
佐藤 政夫様
担当者の声
今回は、これまでのノウハウを活かし、分散型のパワーコンディショナを採用した結果、搬入や施工にかかる費用低減にもつながり、大きなメリットがありました。現在は発電した電気を電力会社に売っていますが、将来は地域の電源として地域の皆さまに使って頂けるよう、電力の小売りにも取り組んでいきたいと考えています。
大和エネルギー株式会社
発電事業部
事業開発グループ
グループ長(当時)
足立 義輝
担当者の声
ここまで軟弱な地盤は、千葉支社でも初めてでした。そのため、地盤補強の方法については、慎重に検証を重ね、最終的に補強シートを利用する工法を採用しました。また、ブランド米である多古米に影響が出ないよう、工事期間も収穫後から次の田植えまでの間で終らせるなど配慮しました。
今後も、今回の経験を活かし、その土地や地域に最適なご提案をしていきたいと思います。
大和ハウス工業株式会社
千葉支社 建築営業所
課長(当時)
高橋 和将