居心地のデザイン
公開日:2014/11/04
人は誰しも、わが家に「居心地の良さ」を求めるものです
何を心地良いと感じるかは人それぞれですが、家族同士の距離感が大きな要素の一つであると設計士は考えます。
■中間的な居場所をつくる
例えば、1階にリビングを、2階に各自の個室を設けただけのプランでは、家族と過ごすか一人になるか、大まかに二つの選択肢になってしまいます。家族とはいえ、ずっと顔を合わせているのはちょっと…という時や、読書や趣味に集中しながらも家族のそばにいたい時に、それでは不便ですね。
例えば、階段の踊り場を少し拡張したライブラリコーナーや、吹き抜けでつながる2階のセカンドリビングなど、中間的な居場所をつくっておくと、少し距離を置きながらもお互いの気配を感じて過ごすことができます。
※)イメージパースは、リビング・ダイニングに、スキップフロアやアウトドアのリビングを融合。さまざまな居場所で、家族が思い思いにくつろげます。
■大空間の一部に安心感を演出する
また大勢で過ごす時は、面積が広く天井の高い大空間が適していますが、広い部屋の真ん中にいるより、隅っこにいる方が落ち着くシチュエーションもあるでしょう。天井の一部を少し低くして安心感を演出したり、リビングとダイニングの間を格子でゆるやかに区切ったり、開閉自在のパーティションで広さを調整する手法もあります。
■居心地の良い空間づくりのヒント
なぜか落ち着ける空間、不思議と心地良い部屋にはさまざまな法則があります。
□好きな素材をどこかに用いる
自分の好きな色や肌触りの良い洋服を身につけていると、うれしくなったり、気分が上がったりするものです。住まいも同様で、好きな素材をどこかに取り入れることで、愛着の湧く空間が生まれます。アクセントとして壁の一部を自然石で仕上げたり、素足に心地良い無垢材の床を選ぶ人も増えています。
□動線から外れた “たまり”をつくる
リビングの真ん中を通って部屋間を行き来するようなプランの場合、そのリビングは落ち着きにくい場所に
なることも。動線から外れた場所に“たまり場”のようなスペースを設ければ、安心感のあるくつろぎの場所になりやすくなります。また、勝手口などは外と出入りする場所なので、目に入ると落ち着きません。視界から外れるように工夫すると効果的です。
目賀田 史夫(一級建築士)
大和ハウス工業株式会社
住宅事業推進部
東京デザイン事務所 デザイングループ