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コラム No.53-56

PREコラム

戦略的な地域活性化の取り組み(56)公民連携による国土強靭化の取り組み【18】広域な交通結節点の連携が地域開発・活性化を推進

公開日:2022/12/27

少子高齢化が加速する時代にあって、大都市圏、地方圏に関わらず、住民生活様式の変化に合わせた都市機能のコンパクト化と地域間のネットワーク化が中長期的に重要な課題となっています。今回は、鉄道や道路といった交通施設・設備の結節点に着目して、その周辺開発の可能性を考えてみます。

第3ステージに入った道の駅

道の駅は、道路利用者への休憩場所提供、地域情報の発信、地域間の連携を促進する目的で、地方自治体と道路管理者が連携して設置している施設で、1991(平成3)年に実験的に始まり、1993(平成5)年から正式登録が開始され、2022(令和4)年現在、全国約1200か所で展開しています。当初は道路利用者へのサービス提供が主な機能でしたが、2013(平成25)年からは「道の駅自体を目的地化」することが提唱され、地域活性化拠点として、飲食・物産品販売に留まらず、温泉や宿泊施設、テーマパークを併設したリゾート施設など、地域特性を生かした新名所として集客を伸ばしている道の駅もあります。2020(令和2)年からは、第3ステージとして「地方創生・観光を加速する拠点」「地域との交流促進」「防災拠点」機能を重視する方向性が示され、地域の道の駅間、あるいは地域の様々な主体とのネットワーク化により、地域の中心的拠点としての役割が期待されています。例えば、幹線道路と地域社会との結節点である道の駅に、医療・福祉機能や役所機能を持たせることで、来街者のみならず地域住民の集会拠点としての役割を開拓している地域もあります。地域によって官民連携の温度差もあり、全ての道の駅が成果を上げているわけではありませんが、道の駅は地域活性化を促進する地域資源として、その活用が広がりそうです。

高度化するハイウェイオアシスの可能性

全国にある高速道路には、道路利用者の休憩場所としてパーキングエリア(PA)、サービスエリア(SA)が設置されています。このPAやSA周辺地域の公園や商業施設等を一体化させ、高速道路と一般道のどちらからでも乗り入れや利用が可能としたハイウェイオアシス事業が、1990年以前から進められおり、2022(令和4)年現在、全国29か所で展開しています。ハイウェイオアシスには、休憩・情報提供機能のほか、観光・レジャーや、飲食、ショッピング、アトラクション、アスレチックなどのスポーツ施設、遊園地などのアミューズメント施設を備えた、比較的大規模な施設が多く存在しており、また道の駅として連携している地域もあり、近年では地域のランドマークとなっている施設もあります。
例えば、2004(平成16)年より事業を行っている愛知県の刈谷ハイウェイオアシスは、伊勢湾岸自動車道の刈谷PAで上下線に接続されており、高速道路からだけではなく一般道(愛知県道56号)からの入場も可能な構造となっているため、高速道路利用者のみならず地域全体から来場者を獲得しており、今では東京ディズニーランド、ユニバーサルスタジオジャパンに次ぐ国内3位の来場者数を誇るテーマパークにまで成長しています。
刈谷ハイウェイオアシス建設は、1993(平成5)年の第二東名高速道路建設計画に際して、第二東名高速道路と第二名神高速道路のバイパスとなる伊勢湾岸自動車道路上に刈谷PA設置が計画されたことがきっかけとなったとされています。通常のPAは高速道路上の施設に過ぎないため、地域への経済波及効果は限定的なのですが、刈谷市はこの機会を逃さず、周辺地域を緑地公園として整備し、官民連携によるテーマパーク型のハイウェイオアシス開発を計画、現在では5,000億円以上を売り上げ、約900人の雇用を生み出すまでになっています。

交通結節点の再開発とネットワーク化

本格的な少子高齢化、人口減少社会に直面している日本にあっては、市民生活を支える地域サービスレベルや地域経済の維持が重要な課題となっており、首都圏をはじめ全国都市圏において交通結節点である駅周辺再開発が活発化しています。高度経済成長期に発展してきた駅周辺地域を、公共、商業、居住区域として立地を適正化、再編成する大規模な計画が多く、住民を交えた官民連携による高度なエリアマネジメントが求められています。さらに、交通結節点である市街地と周辺地域との連携性の確保も地域活性化には大切なことから、鉄道駅に隣接したバスターミナルを整備するなど、公共交通機関のネットワーク化も進んでいます。加速する高齢化人口の増加や来街人口の減少に対応するために、都市機能をコンパクトに再編する動きではありますが、別の視点で見ると、地方都市間のみならず大都市圏でも近隣都市間競合が始まっているとも言えます。自治体の財政も厳しい中で、公民連携による公共性の高い地域(PRE)の開発・再編成は、さらに重要性を増しています。

近代都市となる明治時代以前の日本においても、日本全国に街道が整備され、その沿線には宿場町が生まれ、都市として発展してきました。人口減少、安定成長期に入った現代では、新たな都市を建設することは容易ではありませんが、一般道路の道の駅、高速道路のハイウェイオアシス、都市市街地といった交通結節点に着目し、周辺の再開発・整備と交通結節点間のネットワーク化を進め、地域の魅力度と来街者の移動性を向上させることが、地域活性化に大きく貢献するのではないでしょうか。

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