[土地活用ラボニュース 福岡・早良区編]相続対策で賃貸住宅に2世帯住宅を併用
公開日:2024/03/29
福岡市早良区、地下鉄「室見駅」から徒歩5分の住宅地に建つ「プルミエ室見」。敷地面積は約251坪、3階建て。1、2階部分は、1LDK、2LDK、3LDK、合わせて8室の賃貸住宅を設け、3階の2室をオーナー様とご子息家族が住む2世帯住宅とした賃貸併用住宅です。2024年2月に完成しました。
収益確保を考え、付加価値を提供
オーナー様は、10年前に土地と築30年の2世帯住宅を相続、今後の相続対策を考え、今回の土地活用を決断しました。オーナー様は、自身の相続時の反省もあり、5年前にご子息への家族信託の契約を実施。そして相続税をシミュレーションした際に、「小規模宅地の特例」による相続税の負担軽減、また、賃貸住宅の新築による固定資産税の軽減のために、2世帯住宅と賃貸住宅を併用した建物の建設を決意されました。
自宅部分は賃貸による収益がないため、収益をどのように確保するかが問題のひとつになりましたが、プロジェクトを指揮した大和ハウス工業の照本は、賃貸住宅自体により付加価値を出して、家賃を相場よりも少し高めに設定することを考えました。
具体的には、周辺地域はファミリー物件が多い住宅街のため、1世帯ずつの部屋を広めに取りました。また、Nearly ZEH-M仕様の建物にしたうえで、オール電化の仕様とし、蓄電池や電気自動車用の充電ポートも設置。電気使用量の削減と電気代の節約に貢献する太陽光パネルの設置や、災害時に役立つ蓄電池を各世帯に備えました。
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、集合住宅やマンションの場合はZEH-M(マンション)と呼びます。2025年以降は、断熱等級など新たな省エネ基準への適合義務化も始まることから、ZEH-M仕様は今後スタンダードになると予測されています。
このZEH仕様について、オーナー様は「営業の方から話を聞いて自分でも調べてみたところ、今、ZEHなしで建てたら、5年先は借りていただけないのではないかと思いました。提案いただいたプランには、太陽光発電、蓄電池まで設備に入っており、ほかにも設備も含めれば、ご入居者も納得していただけるのではないか、これは大和ハウスさんにお願いするしかないと思いました」とZEHを評価いただきました。
照本も「土地活用をお考えのお客様の中で、ZEH仕様の建物が十分に浸透しているとは言えない現状ではありますが、我々新しい建物をつくっていく立場としては、いま世界的にも環境やエネルギー問題など、いろいろな問題がありますので、ZEH仕様の建物を提案しています」と語ります。
「GRACA」による重厚感あふれるデザイン
オーナー様の「特別なものをつくりたい」いう思いに対し、設計を担当した木坂は「GRACA(グラサ)」を採用。「プルミエ室見」は、デザイン面においても、存在感のある建物となっています。
都市型レジデンスをコンセプトに持つGRACAは、多彩な表情のある外観デザインに加え、ご入居者に快適な居住空間を提供するさまざまな性能を備えた、3階建て賃貸住宅です。
GRACAの特徴のひとつに、デザインの自由度が高いこと、屋内の空間となる共用部に上質なしつらえなどが提供できることがあります。「プルミエ室見」のエントランス部分には、屋外の重厚感があるイメージから、中に入ってもそのイメージは引き継ぎつつ、階段の木のルーバーや緑によって温かみのある空間となっています。また外構には、もともとあった石を再利用。過ごしてきた思い出と、先祖代々の歴史を感じさせてくれます。
円滑な相続と税務対策を機に、自宅併用の賃貸住宅を建築したオーナー様は、今回のプロジェクトを通して次のように語りました。
「最初に数社にお話を聞きましたが、ダイワハウスさんに決めたら、パートナーを信じました。ただし、自分達が気づいた点や『ここまでしたほうがいいですよね』ということを、できる範囲でお願いしました。出来上がったのを見て感謝の一言しかないです。想像を超えています」
賃貸併用住宅の場合、賃貸部分が減る点で、経営上の検討が必要です。今回の実例は、ご入居者のより豊かな暮らしを考えたZEH-M仕様やエレベーターの採用によって「付加価値」を高めることで、「選ばれる賃貸住宅」となりました。
代々引き継ぐ大切な土地を活用するためには、経営をサポートしてくれるパートナーの存在が不可欠ではないでしょうか。