最近耳にするようになった「木育(もくいく)」という言葉。
木に触れることで、木の良さ、森林環境の大切さを伝える取り組みです。
木の魅力を五感で体験できる「徳島木のおもちゃ美術館」を訪ねました。
徳島の里山の風景をイメージしてつくられた「里山ひろば」。真ん中は徳島市のシンボル・眉山(びざん)、まわりには吉野川。
たくさんの卵形の木球が川の流れを表現。中にはどんぐりの形をした木球もひそんでいて、宝探しのような楽しみも。
木のおもちゃと触れ合い、木の魅力を体感する
館内に一歩足を踏み入れると、木のいい香りに包まれます。「靴下を脱いで素足で木を感じ、五感を使って思いっきり遊んでほしい」と館長の松﨑美穂子さん。「徳島木のおもちゃ美術館」は「0歳から100歳まで楽しめる」をコンセプトに木の魅力や文化を発信する施設。「子どもたちはルールにとらわれず、大人が思いつかないような遊び方をしていますよ」。ここは遊びを通じて子どもたちの感性、創造力を育てる空間でもあります。木に囲まれていると、居心地がよく時間も忘れてしまいそう。親と子が一緒に木に触れて体感することでコミュニケーションも深まります。「木の香りのリラックス効果のおかげか、ここではみんな笑顔で過ごしています」
靴を脱いで館内へ入ると、鎮守の森をイメージした幻想的なアーチが、ぬくもりある木の世界へ誘ってくれる。内装、家具、おもちゃなど徳島県産の杉をふんだんに使用し、県内の職人たちが中心となり、つくり上げられた。
日本の森林環境を守る「木育」の取り組み
「木育」とは木に親しむことで木の良さを知り、森林や環境問題への理解を深めること。その普及拠点として「おもちゃ美術館」は全国各地で続々と誕生。また地産地消の木のおもちゃを子どもたちの誕生祝いに贈る「ウッドスタート」という取り組みも全国の自治体で広がっています。
日本の面積の約7割を占める森林。戦後に植林された人工林も50年が経ち、木を切るタイミングを迎えています。成長した木を切って利用し、新たな苗木を植えて循環させることが、健全な森林環境を保ちます。「ここで木に触れて、暮らしに取り入れるきっかけとなればと思います。それが日本の森を守り、地域の林業や産業を活性化させることにもつながります」
木の魅力を体感しよう
館内にはすがすがしい木の香りが広がり、遊びながら木のやさしい肌触りや温かみを感じられます。五感で木の魅力を体感し、心身ともにリラックスできます。
開放感のある空間「ごっこフォレスト」では、山を散策するように、木で作ったキノコや野菜など、徳島の農産物を収穫して遊べる。
3歳未満の子どもと保護者専用の木育ルーム「赤ちゃん木育ひろば」。赤ちゃんが安心してハイハイしたり、つかまり立ちができる広さを確保。親子でゆったりと遊べる。天井には空をイメージした藍染めのタペストリーが風に揺らぎ心地良い。
厳選された世界の優良なおもちゃを取りそろえた「グッド・トイひろば」。手にとって自由に遊ぶことができる。
ワクワクする仕掛けがいっぱい!
子どもも大人も思わず笑顔になる発見や、ルールに縛られず自由に遊べる空間が、感性や創造力を育みます。
木の穴の中にはいも虫が。磁石の付いた棒で引っ張り出す。
緑の階段は樫原の棚田を表現。上から滑り下りたり、木球の池の中にもぐったり、思い思いに楽しめる。
徳島の伝統文化を知る
阿波人形浄瑠璃や遊山箱など徳島の伝統文化や歴史的町並みも紹介。子どもたちが地元の伝統文化に触れる良い機会になります。
定刻になると動く人形浄瑠璃。
国の重要伝統的建造物群保存地区「うだつの町並み」を再現。小屋の中ではけん玉やコマなど懐かしいおもちゃで遊べる。
館内では赤いエプロンの「おもちゃ学芸員」が遊び方を教えてくれる。「シニア世代のボランティアスタッフも多く、子どもたちとの世代を超えた交流が新たな出会いや発見を生み出しています」という館長の松﨑美穂子さん(前列右から2人目)は、長年子育て支援に携わってきた経歴を持つ。
徳島木のおもちゃ美術館
徳島県板野郡板野町那東字キビガ谷45-22(あすたむらんど徳島内)
TEL. 088-672-1122
入館料(1日券)/ 一般800円、小中学生300円、乳幼児以下無料 ※年間券もあり
開館時間/ 9:30~ 16:30(7/1~8/31は9:30~17:00)/水曜休み(祝日の場合開館、翌日休み)
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