犬と暮らす家がつくりたい!
まずはイメージを膨らませよう
いよいよ【犬と暮らす家がつくりたい!】企画が本格的に動き出したわけだが、まずは家づくりのイメージを膨らませるところからはじめよう。ということで、実際に住宅展示場に行って、ダイワハウスの展示場を見ながら思いつくままに希望をあげてみることに。さーて、好き勝手言わせてもらいますよ。
今回案内をしてくださった、川口展示場・店長の間宮裕二さん(写真右)
訪れたのは、埼玉県川口市にある住宅展示場。対応してくださるのは、川口展示場・店長の間宮裕二さん。まずは間宮さんに案内をしてもらいながら、ダイワハウスの展示場を見てまわる。犬の飼い主視点から気がついたことや希望は説明を聞きながら、その都度伝えていくことになった。
直接中庭に出られる広い窓は散歩のときに便利そう
ダイワハウスで家づくりをする際は「Team-xevo(チーム・ジーヴォ)」といって、専属のスタッフがサポートすることになっている。ナビゲーター、デザイナー、コーディネーター、コンストラクター、アフターサポートと、それぞれ専門のスタッフが、プランづくりから物件引き渡しまで一環してサポートしてくれるシステムらしい。だからこの企画で特別にフォローしているというわけではなく、今回、間宮さんはナビゲーターとして家づくり全般に関わってくれる。
「タイル貼りはお洒落だけど、油汚れはどうですか?」とお手入れが気になる私(左上)
「楽して儲かる方法ないかなぁ」の図(右下)
展示場というだけあって、テラスはあるし、キッチンは広いし、吹き抜けはあるわで、夢は膨らむばかり。何かの間違いでこれまで出した拙著のどれかが突然爆発的に売れてくれたら買えるのにと思ってしまう。いかんいかん。犬が快適に暮らせるための工夫を考えないと。
どこかの個室居酒屋のような和室が妙に落ち着く
何よりもまず床が気になる
最近の床材はワックス不用が多いが、そうすると滑り止めワックスも効かない
犬と暮らす者として、まず気にかかるのが床の材質。ツルツルした床は人間にとって掃除は楽だが、犬にとっては滑りやすい。走ることはもちろん、踏ん張ることもできないから、よく転びそうになっている。そういう床は、股関節に負担がかかるともいわれている。若いときはよくても、老犬になったら歩くことすら困難になるかもしれない。
床がムク材だと滑りにくいがシミになりやすいのは気になる
犬のことだけを考えると、タイルカーペット※ なんかが理想的なのかもしれないが、今度は人間の掃除が大変になる。トイ・プードルなど一部の犬種を除き、ほとんどの犬は季節ごとに毛が生え変わるから床は毛だらけになるものと考えておいたほうがいい。しかも抜け毛は意外としつこくて、カーペットに掃除機をかけたくらいではきれいにならない。粘着シートで取ってもすぐにまた抜けるので、そのうちどうでもよくなって掃除が適当になるという末路が待っている。そんなわけで、掃除が比較的楽で、犬も滑らない床材を選ぶ必要がある。はたしてそんな床材はあるのだろうか。これからの大きな課題になりそうだ。
※40cmから50cm角程度の大きさのタイル状のカーペット。色・柄の組み合わせでさまざまなパターンの敷き方ができる。
階段も犬には危険なゾーン
床材と同じ理由で、ふつうの階段だと犬は滑りやすい。さらに段差があるのでケガにつながりやすい。そのため多くの犬飼いは、階段に滑り止めカーペットを敷いているのではないだろうか。しかし滑り止めカーペットは見た目もいまいちだし、すぐに毛だらけになる(わが家がまさにそう)。階段だけに掃除もしづらい。
福ちゃんはテンションが高いと、ものすごい勢いで階段を降りるので心配になる。階段も犬仕様にしておかねば
材質も気になるところだが、段差も緩いほうがいい。老犬になってくると階段の上り下りも厳しくなってくる。自力で登れるうちは、自分の意志で上下階を行き来させてやりたい。そう考えると、奥行きも通常より少し広くしておきたいところだ。
階段の高さを緩やかにするとそれだけ面積を使うことになる
入ってほしくないところにはゲートを
生活スタイルにもよるが、犬をキッチンに入れたくないという人もいる。犬が誤って食べてはいけないものを飲み込んでしまわないようにと、あとからゲートを付けている人も多いはず。でも後付けタイプはゴテゴテしていて、たまに足の小指をぶつけたりするとかなり痛いので(その昔取り付けていたことがある)、最初から壁に埋め込み式にしておけば、使わないときにスッキリ収納することができる。そんなことって、可能なんだろうか。
「ここにこんな感じでゲートをつけられます?」の図
好き勝手なことをいう私と真剣にメモをとる間宮さん
デッドスペースを活用した収納がほしい
室内に犬用のトイレスペースやケージを設置している人は多いと思う。しかしその上部は、いわゆるデッドスペースになっていて、部屋を狭くする原因になっているのではないだろうか。であれば、上を収納にして下を犬用のトイレスペースなどにしておけば、限られた空間を無駄なく有効利用することができるのではないだろうか。
「たとえばこの下をくりぬいて犬用のスペースにできます?」の図
できれば犬用のスペースはお互いに見える位置が理想かも
次のステップへ
このほかにも、以前から「もっとこういう工夫があったらいいのになぁ」と思っていたことを、細かいことも含めてすべて間宮さんにぶつけてみた。熱心にメモを取りながら聞いてくれていたので、それらの希望が具体的にどういう形でプランに盛り込まれるのか、すごく楽しみになってきた。特に床材と階段の問題は、どう解決してくれるのかとても気になる。
はたしてどんな図面が出来上がってくるのか期待は膨らむ
さらに、犬だけではなく人間も快適に暮らせる家でなければいけない。そのためには、生活の動線をどうすればいいのか、人と犬がそれぞれ落ち着ける場所はどうするかなど、考えることはまだまだたくさんある。うーん、なんだか楽しくなってきた。
いぬのきもち編集室eyes
穴澤さんから、犬の飼い主として気になるところがバンバン飛び出した今回の展示場訪問。初対面だとなかなか素直な意見を言いにくいという方もいるのではないでしょうか。そんな疑問を間宮さんにぶつけると「とくに要望がなくても、潜在的な希望を探って、的確なアドバイスをするのがプロです。あれこれ悩むよりもプロに聞いたほうが早い場合もあるので、ぜひ展示場にお越しください」とのこと。
階段の高さや幅など、元気いっぱいな子犬も、シニア犬の場合でも最重要ポイントです。調査によると、犬の平均寿命は13.7才という結果も※。愛犬が快適に暮らせる環境づくりは、10年以上いっしょに暮らすことを想像して考える必要がありそうです。
※アニコム家庭動物白書2013調べ
その頃の大吉と福ちゃんは…
ダイワハウスには、今回のような展示場と、「まちなかジーヴォ」がある。まちなかジーヴォは、全国の“まちなか”に建つ、地域密着型のオープンハウス。近隣の街並みや、現実的な大きさの土地にあわせて設計を行っているので、実際の住まいづくりの工夫や考えが注ぎ込まれているそうだ。そこで間宮さんにお願いをして、実際の暮らしをよりイメージできる「まちなかジーヴォ」も見学させてもらうことにした。
- ※「まちなかジーヴォ」とは
全国の“まちなか”に建つ、地域密着型のオープンハウス。近隣の街並みや、現実的な大きさの土地にあわせて設計を行っているので、実際の住まい作りの工夫や考えが注ぎ込まれている。 - ※「いぬのきもち」とは
愛犬との毎日をもっと楽しく、ステキに過ごす為の、雑誌とふろくのセットの生活総合誌です。毎月、直接ご自宅にお届けいたします。
作者プロフィール
穴澤賢(あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。犬猫と酒と音楽と釣りこよなく愛するフリーランスのライター。著書に「ひとりと一匹(小学館文庫)」、「またね、富士丸。(集英社文庫)」、絵本「明日もいっしょにおきようねー捨て猫でかおのはなし(草思社)」、CDブック「Another Side Of Music(ワーナー・ミュージック・ジャパン)」などがある。
連載:いぬのきもちねこのきもちWEB「穴澤賢の犬のはなし」
大吉(オス・3才)
2011年8月17日生まれ。茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれたミックス。「いつでも里親募集中」というWebサイトを経て穴澤家へ。雷と花火と暴走族が苦手。海も特別好きではない。
福助(オス・1才)
2014年1月11日生まれ(推定)。千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。保護される前の経歴は不明のミックス。やんちゃで暴れん坊。大吉のことが大好きで、いつもくっついては大吉にうざがられている。
犬と暮らす家がつくりたい!
はじめに
家を建てる準備
プランや仕様を決める
- vol.5 チームジーヴォからのプラン提案 ~その1
- vol.6 チームジーヴォからのプラン提案 ~その2
- vol.7 獣医師の視点でプランをチェックしてもらおう
- vol.8 内装(インテリア)を決めよう!
建設中
完成
まとめ