犬と暮らす家がつくりたい!
「この家で実際に犬と暮らしたら」と想像して
前回は住宅展示場を訪れたが、ダイワハウスにはもうひとつ「まちなかジーヴォ」というものがあるらしい。まちなかジーヴォとは、全国の「まちなか」に立つ地域密着型のオープンハウスで、土地の広さも含めてより「現実的」に落とし込んだ設計をしているため、夢の詰まった住宅展示場よりも実際の暮らしがイメージしやすいという。そんなわけで埼玉県川口市にある「まちなかジーヴォ」を見に行ってみた。
撮影場所:まちなかジーヴォ川口芝新町(平成26年11月撮影)
※写真内の家具・家電・備品等は価格に含まれません
今回も川口展示場・店長の間宮裕二さんに案内をしていただいた
住宅展示場の家はあくまでも展示用で中には事務所スペースなどがあり、いくら気に入ったとしてもその家を買うことは不可能。でも「まちなかジーヴォ」は実際に暮らすことを想定して住宅地に建てられているので、そっくりそのまま購入することもできる。そこが住宅展示場ともっとも異なるところだ。ちなみに今回の企画でも現実的なプランづくりをしていくつもりである。そういう視点で、今回のまちなかジーヴォを検証してみたい。
広い玄関収納は、いぬ飼いには必須
まず玄関を入ってすぐ左には、広めの玄関収納が。こういうスペースがあるのは非常にありがたい。犬の散歩用のリードや首輪のほかに、飼い主の上着まで収納できる。たぶん多くの人がそうではないかと思うのだが、犬の散歩に行くときは「専用の服」がある。たいていはお洒落とは無縁で、ただの防寒対策だったり、汚れてもいい服だったりする。そのほかに、犬用のレインコートや、犬用のバギーなんかもあったりするので、これらのごちゃごちゃしたものが玄関収納に入れられたらとても便利だろう。
まちなかジーヴォはそのまま購入できるため、備品を汚さないように手袋を付けている
人間目線でも、靴がたくさん収納できたほうがいいに越したことはない。特に女性は靴をたくさん持っている人が多いし、子どもがいたりすると家族全員の靴はかなりの数になるはずなので、玄関収納はなるべく広めにしておいたほうがいいだろう。
畳スペースは犬にはどうか
犬の高さに合わせるか人の高さに合わせるか、そのバランスも難しい
1階には寝室と水廻りがあり、2階は9帖のリビングになっている。その一部が畳スペースになっていた。ダイニングテーブルに座った人と、目線の高さが合うように一段高くなっている。たぶん、犬はフローリングより畳のほうが落ち着くのでないか。リビングの日当たりのよいところに、犬がくつろげる畳スペースがあるのもいいかもしれない。段差が問題になってくるが、畳という選択肢もありかもしれない。
犬は外を眺めるのが好き?
わが家の歴代愛犬は、窓の外を眺めるのが好きだ。とくに富士丸は、当時暮らしていた狭いマンションのベランダから見える空(ほとんど何も見えない)をよく見上げていた。今は、福ちゃんが仕事部屋からよく外を眺めている。秋の終わりくらいまでは、窓を少し開けてやると、鼻をクンクンさせてなんだかゴキゲンな様子だったが、寒くなったので最近は締め切っている。犬のために少しだけ開けられる小窓があったらどうだろう。
犬がアゴを乗せられる高さや幅について相談中
やはりネックは床と階段
このまちなかジーヴォの床は無垢材で、犬も滑りにくそう。人間も素足で歩けば気持ちよさそうだったのだが、無垢だとシミと臭いの問題がある。多少の汚れなら「味わい」としてしまえばいいが、粗相をされた場合にオシッコやウンチの臭いが染み込んでしまうのは避けたい。
床をどうするか?滑りにくいフローリングにするのか、無垢材にするのか。犬のためだけを考えてクッションフロアやタイルカーペットにするのか。それが大きな課題となりそうだ。
床と同じくらい重要な問題として、階段がある。やはり、ふつうの規格サイズでは犬には段差がきつそうだということが改めてわかった。しかし限られた土地の中で緩やかな階段を作ると、それだけスペースを使うことになる。そのあたりも考慮してもらわなくては。
人間も快適に暮らしたいから
(犬とは直接関係ないが)今回のまちなかジーヴォで個人的に気に入ったのが、リビング奥にある収納スペース(リンクストレージ)。隠し扉のようになっていて、テレビの裏がちょっとした本棚になっている。ここなら、CDやDVDや本がすっきり収納できる。これはぜひ取り入れたい。
犬がゆっくりくつろげるスペースを
今回、まちなかジーヴォを見て思ったことは、最初から犬と暮らすことを想定していない家の場合、床や階段はもとより、動線も問題になってくることがわかった。日当たりがよさそうで犬がくつろげそうな場所でも、人間が頻繁に通るところだったりすると、落ち着いて昼寝もできない。そういう意味で、犬には人間の動線の影響がないところに落ち着けるスペースを作ってやる必要があると感じた。
しかし、多くの家は犬と暮らすことなど想定していない(わが家もそう)。そういう不満や、無理があるところをダイワハウスが視察して、プロの視点から解決策を考えてくれるらしい。それを「ライフミーティング」といって、これも通常の家づくりに盛り込まれる流れとのこと。そんなわけで、次回は間宮さんをはじめとしたチーム・ジーヴォの皆さんに、わが家を隅から隅までお見せすることに。こうご期待。いや、あまり見られたくないんだけど。
いぬのきもち編集室eyes
まちなかジーヴォの訪問で改めて感じたのが、階段の高さ(蹴上)は重要であるということ。『いぬのきもち』2014年12月号の特集「2014年多かった犬の病気&トピックス10」でも、受診件数が多かった犬の病気として、ひざのお皿の骨がズレてしまう「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」が挙げられています。膝蓋骨脱臼は「先天的にかかりやすいチワワやトイ・プードルといった人気犬種の飼い主さんが多い」ことも受診件数が多い理由のひとつですが、高い位置から飛び降りることによって引き起こされてしまうことも。犬に負担のかからない高さとクッション性の高い床材のセレクトは、このプロジェクトのキーポイントになりそうです。
その頃の大吉と福ちゃんは… 窓から外を眺める大吉と福助
チーム・ジーヴォのメンバーが穴澤家を訪れ、気に入っている所、不満に感じている所などをくまなくチェックする「ライフミーティング」の様子を紹介します。
- ※「まちなかジーヴォ」とは
全国の“まちなか”に建つ、地域密着型のオープンハウス。近隣の街並みや、現実的な大きさの土地にあわせて設計を行っているので、実際の住まい作りの工夫や考えが注ぎ込まれている。 - ※「いぬのきもち」とは
愛犬との毎日をもっと楽しく、ステキに過ごす為の、雑誌とふろくのセットの生活総合誌です。毎月、直接ご自宅にお届けいたします。
作者プロフィール
穴澤賢(あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。犬猫と酒と音楽と釣りこよなく愛するフリーランスのライター。著書に「ひとりと一匹(小学館文庫)」、「またね、富士丸。(集英社文庫)」、絵本「明日もいっしょにおきようねー捨て猫でかおのはなし(草思社)」、CDブック「Another Side Of Music(ワーナー・ミュージック・ジャパン)」などがある。
連載:いぬのきもちねこのきもちWEB「穴澤賢の犬のはなし」
大吉(オス・3才)
2011年8月17日生まれ。茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれたミックス。「いつでも里親募集中」というWebサイトを経て穴澤家へ。雷と花火と暴走族が苦手。海も特別好きではない。
福助(オス・1才)
2014年1月11日生まれ(推定)。千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。保護される前の経歴は不明のミックス。やんちゃで暴れん坊。大吉のことが大好きで、いつもくっついては大吉にうざがられている。
犬と暮らす家がつくりたい!
はじめに
家を建てる準備
プランや仕様を決める
- vol.5 チームジーヴォからのプラン提案 ~その1
- vol.6 チームジーヴォからのプラン提案 ~その2
- vol.7 獣医師の視点でプランをチェックしてもらおう
- vol.8 内装(インテリア)を決めよう!
建設中
完成
まとめ