犬と暮らす家がつくりたい!
犬と猫ではこんなに違う?!
これまでは「犬のための家づくり」に取り組んできた。しかし世の中には猫と暮らしている人も多い。そこで今回は、猫と暮らす人はどんな家が理想なのか、話を伺ってみることに。
協力してくださったのは『本日もねこ晴れなり』でおなじみの「うにまむさん」。はたして犬と猫では、どれくらい違ってくるのか。
写真右より、今回お話を伺った「うにまむさん」、穴澤
猫は人間をリーダーだと思っていない
まずはじめに「うにまむさん」が現在3匹の猫と暮らしている家で困っていることを聞いてみたところ、猫がキッチンに入らないよう全体を柵で囲っているという。さっそく写真を見せてもらった。
- 監獄キッチンと呼んでいるんですが(笑)、こうでもしないと『うに』をはじめうちにいる猫たちが手当たり次第に置いてあるものを落とすんです。
たぶん、触ったら動くのが楽しくてやっているんですが、とにかく何でも落とす。猫は犬のようにしつけという概念がないですし、人間のことをリーダーだとか、言うことを聞くという発想がまず、ないので(笑)
犬と猫では根本的に性格が違う。それはわかっていたが、なるほど。もちろんすべての猫が置いてあるモノを落とすわけではないだろう。だが、少なくとも猫は注意されたからといって、考えを改めることはないらしい。そのため、犬以上にイタズラ防止対策は欠かせない。しかも犬なら腰ほどの高さのペットゲートがあれば十分だが、猫はその程度の高さならやすやすと飛び越えてしまうため、結果的に「監獄」のようになってしまったそうだ。
猫を飼っていると、こういった棚の上に置いたモノはことごとく倒されるようだ
- だから見せる収納とか、ちょっとした棚に写真立てを置くとかは、うちの場合ありえないんです。全部落とされますから(笑)。うにはもう10才ですが、年を取ると大人しくなるっていうのは都市伝説だと思えます(笑)
猫のために、こだわりたいのはどこ?
ではもし仮に「うにまむさん」が猫のための家づくりをするとしたら、どんなところにこだわりたいのだろうか。家作りの優先順位を考えてもらった。
- まず第1は、日当たりです。今はマンション暮らしなので、日の当たる時間って限られるんです。猫はひなたぼっこが好きなので、日中はどこかしら日の光が当たる場所があれば、猫たちも喜ぶと思うんです
犬ではまず床材選びだったが、一番のこだわりが日当たりとは意外だった。うにまむさん曰く、滑らないに越したことはないが、猫はそこまで神経質にならなくてもいいとのことだった。
展示場の床を触り、「ツルツルでなければ猫は気にならないかも」と、うにまむさん
- その次は脱走対策ですね。猫は好奇心おう盛なので、ちょっと油断すると外へ出ようとするんです。でも出たはいいけど本人はパニックになるから大変。以前に一度脱走されたことがあるんですが、ビックリして動きが固まってくれたからよかったものの、そのまま逃げたりしたら捕まえる自信もないし、本人もたぶん戻って来られないので脱走対策はとても重要だと思いました
現在はこのような手作りの柵と、その上に透明の丸い筒をかぶせて登れないように工夫しているとのこと。玄関同様にベランダにも猫が出ないような対策をしておきたいという。それでも外へ出たがる猫のために、陽の当たる中庭などがあればベストとのこと。
- それから、猫は高いところが好きなので、そういう場所をつくってあげたいです。ただ、むきだしの梁とかだとたぶん落ちるので、壁際が理想です。収納スペースの上部や、たとえばカーテンレールをボックスして猫がその上を歩けるようにするとか、そうしたことでも十分だと思います
ただしあまり高いところに猫の居場所を作ると、いざというときに捕まえられないので、なるべく人間が手の届く高さがいいとのこと。
ほかにも、爪とぎ防止のために壁紙は引っかかりがないものがいい、ハンドルレバーは猫があけてしまうので避けたほうがいい、ドアに猫用の出入り口をつけたい(引き戸も開けるが、ぜったい閉めてくれないので)、根本的に犬と猫では理想の家づくりがまったく違うことがよくわかった。そして飼い主の方にも…。
素敵な窓だけど、猫が登ったら捕まえるのが大変そうだなの図
ハンドルレバーのノブは、猫がぶら下がって開けてしまうそう
- 猫と暮らしている人は、休日はなるべく家に居たい人が多いと思います。犬を飼っている人はよく友達同士で犬連れ旅行とか、ホームパーティみたいなことをしますけど、たぶん猫飼っている人はそんなことしないので(笑)。家でひっそりしている人が多いんじゃないでしょうか。家に居いて猫と過ごす時間がとにかく長いので、猫はもちろん、人にも快適な家が理想です
もちろん例外はあるだろうが、今回の取材で家づくりはもちろん、これまで漠然と感じていた猫飼いと犬飼いの性格の違いも垣間見えたのだった。うにまむさん、どうもありがとうございました。
ねこのきもち編集室eyes
犬の飼い主さんと猫の飼い主さんでは家を見るポイントやこだわりが違うこともわかった今回の取材。うにまむさんも愛猫うにちゃんの脱走エピソードをお話してくださいましたが、ねこのきもち2015年4月号の特集「春から増えがちな病気・トラブルに気をつけて」でも、春になると猫の脱走も増えると紹介しています。 猫の脱走ルートは開閉が頻繁にある玄関や、うっかり閉め忘れることが多い窓とベランダがほとんど。外に出たいという猫の気持ち自体を抑えることも大切ですが、うにまむさんのように柵を設けるなど対策も重要ですね。
その頃の大吉と福ちゃんは…自宅でくつろぎ中
- ※「まちなかジーヴォ」とは
全国の“まちなか”に建つ、地域密着型のオープンハウス。近隣の街並みや、現実的な大きさの土地にあわせて設計を行っているので、実際の住まい作りの工夫や考えが注ぎ込まれている。 - ※「いぬのきもち」とは
愛犬との毎日をもっと楽しく、ステキに過ごす為の、雑誌とふろくのセットの生活総合誌です。毎月、直接ご自宅にお届けいたします。
取材協力
うにまむさん
うに、ももじろう、てんてんの3匹と暮らし、幸せねこライフ満喫中♪
猫たちの絶妙な表情をとらえた写真と軽快な語り口で綴る、ブログ「うにの秘密基地」が大人気。
うに
通称うったん。2005年4月19日生まれ、10才の男のコ。
元気いっぱい天真爛漫。まんまる黒目がちの目と、もふもふボディがチャームポイント。
ももじろう
通称モミー。 2002年9月10日(推定)生まれ 、12才の男のコ。
控えめで穏やかで、ちょっとだけビビリン坊。気は優しくて力持ちな、体重6キロの細マッチョ猫。
てんてん
通称てんちゃん。2013年8月1日(推定)生まれ、1才の女のコ。
うにまむさんのマンションの敷地内で保護され、家族に仲間入り。猫も人も大好きな愛されキャラのハイテンション・ガール。
作者プロフィール
穴澤賢(あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。犬猫と酒と音楽と釣りこよなく愛するフリーランスのライター。著書に「ひとりと一匹(小学館文庫)」、「またね、富士丸。(集英社文庫)」、絵本「明日もいっしょにおきようねー捨て猫でかおのはなし(草思社)」、CDブック「Another Side Of Music(ワーナー・ミュージック・ジャパン)」などがある。
連載:いぬのきもちねこのきもちWEB「穴澤賢の犬のはなし」
大吉(オス・3才)
2011年8月17日生まれ。茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれたミックス。「いつでも里親募集中」というWebサイトを経て穴澤家へ。雷と花火と暴走族が苦手。海も特別好きではない。
福助(オス・1才)
2014年1月11日生まれ(推定)。千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。保護される前の経歴は不明のミックス。やんちゃで暴れん坊。大吉のことが大好きで、いつもくっついては大吉にうざがられている。
犬と暮らす家がつくりたい!
はじめに
家を建てる準備
プランや仕様を決める
- vol.5 チームジーヴォからのプラン提案 ~その1
- vol.6 チームジーヴォからのプラン提案 ~その2
- vol.7 獣医師の視点でプランをチェックしてもらおう
- vol.8 内装(インテリア)を決めよう!
建設中
完成
まとめ