医療と福祉のインテグレーションを目指し、
多機能ホームで地域のお年寄りの在宅生活を支える仕組みと体制をつくる
もっとも新しい施設は今年の3月に開設した、施設パンフには「医療福祉複合施設」と記されている、いわゆる多機能ホーム「神舞の里」です。場所は日向市に隣接する東臼杵郡門川町。
神舞(かみまい)は、天岩戸に身を隠した天照大神を呼び戻すのに舞いを披露した伝承に因み、「神舞」という地名もあるあたりががいかにも神話の国、日向です。このあたりはすでに山は深く、「神舞の里」が建つ場所からは周辺の峰々や、山間を蛇行して流れる川を眼下にする、すばらしい眺望が気分を爽快にしてくれます。自然が豊かなこの地に施設を設けたのは、実は、豊か過ぎる自然環境ゆえに過疎化が進み、高齢者の支え手が少なくなるこの周辺地域の高齢者を「通う、泊まる、住む」の多機能サービスでしっかり支えるためなのです。
「神舞の里」は、グループホーム、ショートステイ、デイサービスの機能を備えており、ここにデイサービスで通うおばあちゃんは、「ここに来てみんなで話しをしたり、いろんなゲームするのが一番の愉しみです。けれど、住むのは自分の家がええ」と、そっと教えてくれました。
介護政策が在宅介護へとシフトする流れのなかで、介護の支え手が不足がちな地域や山村の高齢者には、在宅は深刻な問題です。老老介護、あるいは独居…「過疎の村の介護の難しさは、若い人の支え手が不足しているのと、人家がまばらで隣と隣の距離が離れていたりすることです。お年寄りは孤立しがちです。このままでは、医療の面でも介護の面でもお年寄りにはどんどん不利になります」。
都市部とは異なる問題の難しさを瀧井さんは訴え、「だったら、お年寄りの具合と事情に応じたサービスの拠点を設けて、在宅介護を応援できる環境と仕組みをつくらないと…」。地域が置かれた状況を考えて多機能ホームを設けられたのです。
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神舞の里