対談 【第4回】超高齢社会と介護・福祉~地域・行政・NPO・企業ができること~
先陣を切って高齢化が進む茅ヶ崎
服部 茅ヶ崎市長の服部です。茅ヶ崎は人口が23万7000を超え、現在高齢化率は23%に達しています。特に、人口集中地域の茅ヶ崎は7年後の2020年には県内でも先陣を切って急速に高齢化が進むという状況にあります。
高齢化対策はスピード感を持って進めなければなりません。まずは企業の協力、そして地域のコミュニティの力が不可欠です。
そこで今、市として地域のコミュニティ力の向上に力を入れています。特に、自治会加入率が地域を維持するために最低限必要な80%程度を保てている今がチャンスと、モデル事業が動き始めた所です。
これは地域を大きく束ねる、市民が参加しやすい協議会組織を創りながら、皆さんが興味のある分野で積極的に関われるきっかけを作り、さらに住民参加でその地域に合った取り組みを行うというものです。
また、各地域の包括支援センターに、困りごとに対応する地域福祉総合相談室も作りました。そこを入り口に地域のニーズを汲み取りながら調整したり、民間の協力を仰いだりできる仕組みを作るなどしています。
井手 私は2013年2月からNPO法人湘南スタイルの事務局長として、地域農業の支援などを通じた湘南らしい暮らしの実現をテーマに活動しています。
ところで私は3年前、親との同居に適した場所ということで茅ヶ崎に越して来ましたが、ここは坂がなく、自転車でどこでも行けて、病院もショッピングセンターもあって便利ですね。しかも住んでみたら自然が豊かで、さらにNPOや行政との交流も盛んです。そうしたわけで今、個人としても地元の高齢化対策に関心があります。
瓜坂 大和ハウスは高齢化社会への取り組みとして、これまでに全国で3500カ所以上の介護施設や病院などを手掛けてきました。
日本国内の現状として、65歳以上の人口3000万人の内、2500万人は健常者ですが、話し相手がなく、生きがいがない、お金もあり健康で時間もあるがやることがないというように、「第二の人生」を楽しめない方たちが非常に増えています。独居老人も500万世帯いる。それに対して今、企業として何ができるかと考えています。
坂口 私共、大和ハウスライフサポートは「ネオ・サミット茅ヶ崎」に先立ち、静岡県熱海市で「ネオ・サミット湯河原」という施設を1986年から運営しています。
そこでの経験から、高齢者施設の運営という非常に息が長い事業の継続のためには、地域に溶け込み、地域の環境を守ることを重視しています。茅ヶ崎では幸いにもその姿勢を評価いただき、神奈川県の「環境共生都市町づくり事業」の認証を取得できました。
図は75歳以上の高齢者人口比を示したもの。2020年には茅ヶ崎市の75歳以上人口比は15.2%と、神奈川県と比較して急速に高齢化が進み、ほぼ全国平均に並ぶ。
「環境共生都市町づくり事業」認証式の様子