ケアする人もケアされる人もみんなで一緒に幸せになる方法を考えましょう。
※ 社会福祉法人・青山会/「くわのみ荘」は「特別養護老人ホームくわのみ荘」、「くわのみ荘居宅介護支援事業所」、「くわのみ荘デイサービスセンター」、「くわのみ荘短期入所生活介護」、「くわのみ荘ホームヘルプサービス」、「熊本市在宅介護支援センターくわのみ荘」、「おもちゃ図書館わいわい」などを運営しておられます。
施設長の跡部さんは、ふくよかなお顔がいかにも福々しく、朗らかで誰にでも気さくに声をかけ、そしてケラケラとよく笑うお人柄が、接する人をたちまち愉しく元気にしてしまうような、そんな方です。
地元テレビに紹介されたり講演にも招かれるなど、熊本では介護の分野でよく知られた人。跡部さんらが実践している介護はこれまでの介護に対する考えや施設の運営とはいささか異なり、その取り組みぶりを見学・視察に訪れる人も少なくないようです。
「まだ試行錯誤してます」と言いつつ、「かてて」が目指す介護を跡部さんは要約して話してくれました。「みんなで一緒になって…介護する方もされる方も、幸せになる方法を考えましょうよ!ということなのです」。
跡部さんがそこに至る経緯を簡単に説明すると、父親は精神科医で、特別養護老人ホーム「くわのみ荘」を運営。跡部さんは後を継ぐつもりはなく、保育士の資格を取得し「幼稚園に勤めようと思っていたのですが、時期が悪くて…」、それで「くわのみ荘」を手伝うようになる。
結婚後、ご主人の転勤などで専業主婦として子育てに忙しく、介護の現場から離れるが、再び「くわのみ荘」に戻ってみると、介護施設の運営に違和感を抱きはじめたそうです。どこがどう違うのかは分からない。可もなく不可もなく。
「だけど違和感があったのです。こんな運営でいいのかなあ? 何が違うのかなあ、何が足りないのかなあ…って」。そんな疑問を抱きながら、その後10年間、何が違うのかを模索しつづけたそうです。
跡部さんなりに分かったことは、施設の案内ひとつにしても「どうぞおでかけください、ご利用をお待ちしていますだったり」という、この意識のスタンスは違うなということだった。そして一方で、跡部さんは介護する側の意識として、「自己満足のケアでなく、私たちはこの仕事を通じて何を実現したいと考えているのか、そこのところをもっと考えるべきだと痛感したのです」と話します。
理念の必要性を強く感じ、「くわのみ荘」の職員全員で「理念塾」という勉強会を催し、そこで全員が議論し考え至って生まれたのが「ともに生きる…」という理念。「いろんな人が自分の得意を持ち寄り、ほかの人の不得手な部分を補う。そうして集まった人同士が互いに補いあって生活していけたら…みんなが〈かてて〉して暮らしていけたら」。「かてて」とはそういう場であり、家になることを強く願っているとのことです。
CASE1
かてて