ケアする人もケアされる人もみんなで一緒に幸せになる方法を考えましょう。
※ 社会福祉法人・青山会/「くわのみ荘」は「特別養護老人ホームくわのみ荘」、「くわのみ荘居宅介護支援事業所」、「くわのみ荘デイサービスセンター」、「くわのみ荘短期入所生活介護」、「くわのみ荘ホームヘルプサービス」、「熊本市在宅介護支援センターくわのみ荘」、「おもちゃ図書館わいわい」などを運営しておられます。
玄関を入ると広い上がり口があり、のれんを上げると、気持ちが良いほどの長い畳敷きの廊下が続いています。
左手に浴室、右手にはキッチンと、食事をしたり団らんの場になったりするリビング・ダイニング兼用のテーブルがあり、その背後にはまた相当数の畳の間。この直線に長くつづく畳敷きは、室内をより開放的で広々と見せる効果があり、跡部さんらが設計にあたってとくにこだわったスペースです。建物の過半を占めるこのスペースがデイサービスセンターとなっていて、利用定員は14人で対象は要介護認定者。
このデイサービスセンターについて跡部さんは「こちらは自宅の延長の場所と考えて和室にしました」。
この廊下を奥に進むと、また屋外の専用玄関から入ると併設の共同住宅「かてて」がある。認知症の高齢者のためのグループホームとは異なり、利用の対象者は「〈かてて〉の設立を趣旨を理解・賛同してくださる方」とあって、部屋数も6室となっています。各室に洗面所、トイレ、照明、カーテン、エアコン付きの個室のほかに、共同施設として食堂、リビングルーム、トイレ、浴室が完備。
利用者のお一人に養護学校を卒業された女性が入所しておられるのですが、跡部さんらは「彼女の働き場所と生活の場所になっています。彼女はユニークな発想をもった方で、彼女1人のニーズを〈シーズ〉にして彼女と共同生活してくれる人がここで暮らしています」。ここから介護の新しいモデルが見いだされるかも知れません。
そしてリビングにはテーブルが一つ、しかしこのテーブルのサイズには跡部さんなりの意味がある。「これが9人だと 1つのテーブルを囲めないのです。2つのテーブルに別れる。でも一つのテーブルを囲むのが家族のサイズです」。これなどは5人の子どもの母親でもある跡部さんが家庭の主婦の体験と発想を生かしたものといえそうです。
そして介護施設の運営について跡部さんは、「既成の介護に対する考え方や方法に何も縛られることはないのではないでしょうか、もっと自分らで自由に試行錯誤しながら、いいと思えるものをどんどん導入し実践していけばいいのでは」とそう思っておられるのです。
CASE1
かてて