三重県の津市と松阪市において、日常的な生活支援からターミナルケアまでの幅広い介護事業を展開し、長きに渡り地域に貢献されているのが社会福祉法人三重ベタニヤさまです。同法人は、キリスト教の精神に基づく愛と奉仕の精神をもった地域福祉の実践の場として、平成5年にケアハウス(軽経費老人ホーム)『ベタニヤハウス』を、津市北部の住宅団地内に開設されたのが事業の礎となりました。その後、同敷地内にデイサービスやショートステイなどの機能を備えた『ベタニヤ在宅介護複合施設』、そして平成26年には、法人設立当時より念願とされていた特別養護老人ホーム『アガペホーム』(60床)を開設。高齢者に対して、点ではなく面で支える総合的なケアを行う体制を整え、確かな実績を積み重ねてこられました。また、隣接する敷地には住宅団地のシンボルとなっている津豊ヶ丘キリスト教会があり、3つの施設や職員さまは「ベタニヤさん」と呼び親しまれるほど、地域の高い支持を集めておられます。
また三重ベタニヤさまでは、松阪市からの要請を受け、平成19年に小規模多機能型居宅介護+認知症対応型デイサービスの『いこいの家』を開設。長年の津市における実績が評価されてのことでした。その後、松阪市の地域密着型特別養護老人ホームの公募事業にも参加。見事採択され、同敷地内に併設するカタチで平成29年に開設されたのが、『グレイスホーム』(29床)です。
同法人では『いこいの家』開設当時より、この松阪市においても津市の3施設同様、異なる介護の機能を融合・連携させた“三位一体型モデル”の介護事業を構想されていました。つまり、後は在宅ケアとターミナルケアをつなぐ機能が必要となるわけです。そこで、周辺環境や人員体制などを検討された結果、津市のケアハウス『ベタニヤハウス』同様の機能と役目を果たす施設として、住宅型有料老人ホームの開設を目指されることとなりました。
計画にあたり、第一にこだわられたのがコスト面。それは、「愛と奉仕の精神で、弱者救済に努める」という理念に基づき、“可能な限り月額費用を抑えることで、住まいや所得に不安を持つ高齢者のニーズに応えたい”という思いがあったからです。また、事業運営の面からは、それまで利用定員を満たしていなかった『いこいの家(小規模多機能型居宅介護+認知症対応型デイサービス)』に隣接させることで、同施設の稼働率向上と住宅型有料老人ホーム入居者さまへの“安心の提供”を同時に実現させたい、という狙いもありました。施設建築を依頼された大和ハウス工業では、三重ベタニヤさまの理想を具現化すべく検討を重ね、ご満足いただける提案を行うことができました。
こうして平成30年4月に開設したのが、全24室の住宅型有料老人ホーム「ベタニヤシニアホーム」です。限られた敷地内に効果的な配置で建てられた、一見シンプルに思える平屋造りの建物は、入居者さまの住み心地を第一に考え、徹底的なコスト管理を図りながらも、随所に工夫を重ねています。開設に先立ち行われた見学会でも、建物の仕上がり具合を多くの方々に評価いただくとともに、ケアハウスと変わらない低廉な月額利用料が大きな注目を集め、たくさんの予約希望が集まりました。
この高齢者住宅の開設によって、松阪市における“三重ベタニヤ流三位一体の介護モデル”は、ほぼ理想形に近づきました。この地域からも「ベタニヤさんで最期まで」という声が数多く聞かれるのは、そう遠い先のことではないでしょう。
CASE20
住宅型有料老人ホーム ベタニヤシニアホーム