まだ開発の初期段階だった住宅団地「豊里ネオポリス」のシンボルとして、大和ハウスさんから誘致を受け、津豊ヶ丘キリスト教会が開設されたのが昭和63年のこと。その教会に種を蒔いていただき、社会福祉法人として「愛と奉仕の精神を持って高齢者に仕える」を事業の理念とし、さまざまな介護事業に取り組んできました。
それは、ケアハウスから始まりましたが、基本的に自活できる方が対象であるため、「ご自宅で、もっと不自由されている方のために」と在宅介護複合施設。そして平成26年には、念願の特別養護老人ホームを開設することができました。入居者は、要介護度3~5の方ですから、看取りの場としての役目も求められます。そこでは、医療よりも介護が重要な働きをするのではないでしょうか。
いま、このように在宅からケアハウス、そして看取りの別養護老人ホームへという法人内で三位一体のつながりが生まれ、初めて地域の方へ確かな安心を提供できていると実感しています。誰もが自宅で最後までというのが一番の望み。だから私たちには、どこまで家庭的に家族のようにお世話ができるかというのが問われています。また、ご家族のためにも私たちのように、歩いていける街の一角に施設があるのが好ましいでしょう。看取りの際に「ベタニヤさんに来て良かった」と思っていただけるように、今後も一人でも多くの方に寄り添いお仕えしていきたいと思っています。
松阪市の場合も、基本的に津市と同じ理念で施設展開を進めてきました。平成19年当時、国が地域密着型の小規模多機能型居宅介護や、認知対応型の施設を推進していました。地域密着型の事業というのは、“地域とのつながりの中でお互いに支え合っていく”ことを意味すると、以前より私たちの理念の土台にあるものをしっかりと重なってきます。大きな利益は望めない制度ですが、社会福祉法人 三重ベタニヤの理念が実践できると、開設に踏み切りました。
続いて開設した特別養護老人ホームも29床の地域密着型。こちらも規模的に余裕ある運営は難しいものの、津と同じように地域の方の「住み慣れたところで生涯を終えたい」という願いを叶えるためにも、小規模多機能型居宅介護だけでは不十分だと感じていたので決断しました。
今回、住宅型有料老人ホームを開設したのは、津で確立させた“介護機能の三位一体のつながり”を松阪でも実現させるためです。所得に不安のある方でも入居できるよう、約10万円という月額費用にはこだわりましたが、この三位一体がうまく機能することで、小規模多機能居宅介護の稼働率も上がり、特別養護老人ホームへの好影響も期待できます。さらには、地域の満足が高まり、経営も満足し、さらに職員の満足へとつながる施策だといえるでしょう。実際、オープン前から小規模多機能居宅介護への問い合わせが増えてきており、地域の注目度の高さを実感しています。
施設建設をお願いした大和ハウスさんとは、教会開設のご縁もあり、第一号の施設であるケアハウス『ベタニヤハウス』からのお付き合いです。実は、いままで開設した6施設のほとんどをお願いしており、当初より私たちの理念を十分に理解いただいているため、特別養護老人ホームに関してもスムーズに選定されました。何より介護施設の建設実績が豊富ですから、レベルの高い提案や柔軟な対応、工期についても安心して任せられます。長いお付き合いですので、心が知れているところも良いですね。今回の建物にもとても満足しています。
CASE20
住宅型有料老人ホーム ベタニヤシニアホーム